この感想文にはネタバレが含まれます。
映画をまだ観てない方、・これからご覧になる予定の方は、お読みになる際は充分ご注意ください。
あと、ツッコミや、個人的にう~~~ん…と思ったシーンも正直に書きます、これに関しても嫌な方はご注意ください。
2024年10月25日、待ちに待った映画「八犬伝」を公開初日・朝一番で観に行きました。
・実パートの感想
曲亭馬琴が真面目で偏屈者だというのは有名な話ですが、全体を通してそれほどその性格が描かれてはいなかったかなーと思います。
鶴屋南北に声を荒げたときくらいじゃないかな…。
あとは北斎のイジりで性格の話が出たくらい?
宗伯の癇癪持ちもそれほど…。
それに引き換え、お百さんのヒステリックで愚痴っぽい性格はよく出ていたと思います。
登場するとだいたい愚痴って文句言ってましたねw
馬琴と北斎の関係性、お互いを皮肉りながらも良くも悪くも理解しあってるって感じがいいなーと思いました。
人気戯作者と人気絵師。自分が考えた物語のイメージ画をサラサラ人気絵師に描いてもらえるの、羨ましかったです。
もちろん、人気戯作者に挿絵描いてよって頼まれるのも光栄だと思いますが、「文句多いからヤダ」って北斎さん断るし、サラサラ走り描いたイメージがすら没収して帰りますがw
そして何と言っても、お路さんの代筆の逸話。これも有名な話ですね。
この映画を観る前に西條奈加さんの「曲亭の家」という小説を読んでいたのですが、その小説では、馬琴がお路さんに代筆を申し出、嫌がるお路さんでしたが、「他人では駄目なのだ」という舅の言葉に折れ、引き受けることになったうえ、馬琴が使う漢字にもこだわりがあり、付いていくのが本当に大変そうでした。
この映画ではお路さんから申し出ていましたが、何度叱られても呆れられても諦めずに書き通してくれたお路さんに、私たち八犬伝ファンは本当に感謝するばかりですよね。
黒木華さん演じるお路さんの、慎ましやかだけれど芯の強いお路さん、とても印象的でした。
・虚パートの感想
本編が始まると同時に滝田城と思われる荒れた籠城シーンから。
んーやっぱそこら辺から始まりまるんですね~。
安西景連への恨み言とを言いながら諦めモードの里見義実と金碗八郎主従の元へ駆け寄る八房。
出た~~~~~!!!八房来た~~~!!!18年前のスペシャルテレビドラマでは存在すら無視されていた、物語中最も重要なモフモフ!
原作の挿絵や錦絵では洋犬を思わせる風貌だったりしますが、この映画の八房は私好みの立ち耳!フサ尻尾の秋田犬の様な見た目!
君に会いたかったよw
そして土屋太鳳さんの伏姫も登場。優しそうでお美しい…。伏姫のイメージにピッタリでした!
そしてまあ、原作通り八房が景連の首を獲ってきて戦に勝利するのですが、ここで玉梓登場。
あ、ここに持ってきたんだ玉梓の処刑シーン。景連の愛妾という設定になってました。
栗山千明さんの玉梓も妖艶で、呪の言葉を吐いて死んでいくシーンは迫力がありましたね。
そして八房が伏姫を連れて城を後にするわけですが、ちゃんと姫が伏姫に乗って立ち去るのが嬉しかったです。乗れる犬。乗せてくれる犬。犬、愛。
残念だったのは、伏姫に妊娠の兆候が視られて絶望するシーンとか、もうちょっと富山籠りのシーンを描いてほしかったです。
大輔の鉄砲で八房が撃たれたときに、何故か伏姫がいつのまにか横にいたのも不思議でしたw
大塚村のシーン。
番作父上出てこず。与四郎(犬)も出てこず。もちろん信乃の生い立ちも語られず。
蟇六と番作が兄弟で信乃は蟇六の甥って設定ってこと?蟇六と船虫を「おじ上」「おば上」って読んでいたけれども。
そしてフライヤーの相関図などで浜路を「許嫁」ではなく、「幼馴染」と紹介していたのも気になっていました。
そして出ました!浜路が崖から落ちるパターン。
たしか昔の映画やドラマ版も崖から落ちてませんでした?
こうなると可能性が強くなってくるのが、大塚の浜路=里見の浜路姫パターン。
後にそれが確定w
いやわかるよ、この尺で大塚浜路が死んで、後から木工作のとこの浜路(姫)が出てきて、彼女にに取り憑くシーンまでやってられないしね。
でもね、
私の道節の推しポイントのひとつである、「(大塚の)浜路の実の兄」という原作設定が皆無になってしまうの、
すっっごーーーーーーーーく残念なの!今作では道節、1ミリも浜路を助けようとせず、「ああ崖から落ちた女人か」で終わってやんの。
芳流閣のシーンはとてもカッコよかったです!
水上恒司さんの現八、とてもワイルドで好きだ…。この映画では一番推せるかもしれない。
犬田屋でのシーンもあっさりしてましたね。信乃が破傷風にならなかったし。
まあ、親兵衛があの設定だったら別に無くても支障はないのか。
(音音と代四郎が完全に親兵衛の育ての親だったYO!道節1ミリも関わり無かったYO!淋しいヨ!)
道節の大出太郎のエピソードと毛野の「対牛楼」がひとつにまとまっていたのは新鮮でした。
板垣さん演じる旦開野の美しかったこと!
これは期待を遥かに超えてきてくださいました!
そして最終決戦…なんか遠慮なく斬られる犬士たち。
斬られながらも「ここは俺に任せて先にいけ」という、小文吾の姿に、
大丈夫か?これは鎌田版「里見八犬伝」のパターン再来か?と思ったら、
中途半端に3人ほど死んでるんですがーーーーーーー!!!!?
まあ、伏姫さまが起こしてくれて良かったですがw
虚パート、全体的な感想としては「途中までは良かったんだけど…」でした。
結局原作ファンは原作からあまりかけ離れちゃうと「うーん」ってなる生き物なのかな。
あと、道節の影が薄かったのも残念です。(そこ)
大角なんかもっと可哀想…。
時間の尺考えるとやっぱり大幅にアレンジしないと無理なんですよね。
わかるよ…わかってるつもりよ…でも…
どなたかーーー!!!やっぱり1部三時間レベルの3部作で映画作ってくださーーーーい!!!!!
最後の八犬士が馬琴先生を連れて行くシーンが、どうしてもフランダースの犬のネロとパトラッシュを天使が連れて行くシーンに思えてしかたなかったという感想を追記して、終わりとします。
[5回]
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